抗うつ薬の効果は限定的!?まずは睡眠と運動を優先? [うつ病]
2010年、米国ペンシルバニア大学の研究チームによると、「うつ病の症状が中程度まででは、抗うつ薬の効果は見られない」と報告をしたとのことです。
研究では、抗うつ薬を服用し患者さんとプラセボ(偽薬)を服用した患者さんとの比較実験と言うことになるようです。
実験によると、症状が中程度までの患者さんの場合では、抗うつ薬を服用した時の回復度と偽薬のプラセボを服用した時の回復度に差が見られなかったということです。
つまり、うつ病が中程度では、抗うつ薬を服用しても意味がないと言うことになるようです。
1995年の米国の精神科医の報告では、抗うつ薬のセルトラリンを服用した患者とプラセボを比較した場合、セルトラリンを服用して症状が改善した人が60%に上りました。
しかし、プラセボを服用した人の42%に症状の改善が見られたと言うことです。
プラセボとプラセボ効果
プラセボとは:治療のための必要な有効成分が含まれていない薬のことです。
プラセボ効果とは:プラセボを服用した場合でも心理的作用が働くことが多く、有効成分を服用した時と同様の効果が現れることもあります。
プラセボとは:治療のための必要な有効成分が含まれていない薬のことです。
プラセボ効果とは:プラセボを服用した場合でも心理的作用が働くことが多く、有効成分を服用した時と同様の効果が現れることもあります。
このようなことから、60-42=18となり、抗うつ薬の効果があったと考えられるのは、約20%と言うことになるでしょう。
つまり、抗うつ薬を服用して実際に症状が改善したり、効果が現れたのは10人中に2人なりますから、残りの8人への薬の投与は無駄であり、無意味と言わざるを得ないと言うことになるのです。
・・・と言ったことから、80%以上の人に症状の改善が見られる抗うつ薬の開発を待ち望んでいる人が、ほとんどなのです。
しかし、新たな抗うつ薬の開発までは長い時間が掛ります。その期間黙って待っているだけでは症状が悪化する恐れもあります。
それでは、うつ病を少しでも改善に向かわせるためには、どうしたら良いのでしょう?
うつ病は改善できるのか?
これまでも何度か記述してきましたが、うつ病を改善するには生活習慣を改善するのが重要なのです。獨協医科大学の井原裕教授も「うつ病の治療は薬物療法より生活習慣の改善が重要!」と、おっしゃいます。
中でも睡眠は、うつ病を患う人には非常に重要な意味を持つのです。
何故なら、うつ病の人の多くは睡眠不足に陥っているからなのです。
そして、睡眠不足から生活リズムが乱れてしまい、自律神経も乱れていることが多いのです。
昔から、睡眠時間は7~8時間が必要と言われてきましたが、生活の多様化が進んだこともあり、寝不足の人が増加するに従ってうつ病を患う人も上昇傾向となっています。
うつ病を改善に向かわせるには、まず1週間当たり50時間の睡眠時間を確保するようにしましょう。
そして、適度な運動も必要になってきます。
適度な運動は眠りに入りやすい疲れを生じさせますので、1日7000歩を目標にウォーキングをすれば、良い睡眠を取ることができるでしょう。
交感神経と副交感神経
自律神経には交感神経と副交感神経があることをご存知でしょうか?交感神経と副交感神経がバランスを取り合って自律神経は正常に機能しているのです。
ですから、交感神経の優位が続いた場合や副交感神経の優位が続いた場合には自律神経はバランスを欠くことになり、様々な不調が体に現れれることになります。
肉体的、精神的に活動する時に活発になるのが交感神経になり、逆に休息する時に活発になるのが副交感神経と覚えておくと良いでしょう。
自律神経が正常に機能するためには、この交感神経と副交感神経が交互に優位に立てばいいのですが、様々な状況に晒されることが多い現代では、交感神経が優位に立つ場合が必然的に増えてきます。
そして、その反動で副交感神経は優位に立つことが減少してしまい、病気を発症してしまいます。
社会状況が複雑になっているのは仕方ないのですが、交感神経ばかり優位に立たせていると体が不調に陥ります。
さりとて副交感神経ばかりが優位になっていると、また体の他に不調が生じてしまいますから、交感神経と副交感神経のバランスが取れる生活習慣にハンドルを切ることが求められるのです。
交感神経が優位の弊害
社会状況が目まぐるしく変わる現代では、変化に付いていけない方も少なからずおられます。そして、そう言った状況がストレスになることもあります。
それでは交感神経が優位に立つ状況とは、どのようなことでしょう
また、どのような変化が体に現れて来るのでしょう?
< 交感神経が優位に立つ状況 >
交感神経が優位に立つのは、下記のような肉体的、あるいは精神的に辛い状況が継続することで自律神経が乱れてしまい、副交感神経の出番を少なくすることによって生じてしまいます。
● ストレスを受ける
● 遠距離通勤や通学
● 長時間労働
● 介護疲れ
● 不規則な生活
このようなことで交感神経を優位にばかりさせておくと、自ずと体調不良が生じるのは自明の理と言えるでしょう。
それでは交感神経が優位に立つ状況 で現れる体の変化とは、いかなるものでしょう?
< 交感神経が優位に立つ状況で現れる体の変化 >
● だるさや倦怠感
● 冷えや凝り
● 胃腸の不良
● 頭痛
● 不眠
● 免疫力の低下
● 月経前症候群(PMS)
このような症状が交感神経が優位に立つと現れてきますから、副交感神経を優位に立たせる状況を作り、自律神経のバランスを取る必要があるのです。
しかし、副交感神経を優位にばかりさせる状況ができてしまうと、別の問題が生じてきますから、一筋縄では行かないのが自律神経と言うことになります。
副交感神経が優位の弊害
交感神経の優位が続くと、上記のような体調の変化が生じてきますが、副交感神経の優位が続いた場合でも体調に変化が現れてしまうのです。< 副交感神経が優位に立つ状況 >
● リラックスする時間を持つ
● ストレスを溜めない
● 体を休める
● 睡眠を十分取る
● 規則正しい生活をする
このような生活を繰り返すことで、自律神経は正常になるのですが、リラックスする時間や休む時間、さらに十分過ぎる睡眠によって副交感神経の優位が続く場合では、弊害と言うものが生じてきます。
それでは副交感神経の弊害とは、どのようなものでしょう?
< 副交感神経が優位に立つ状況で現れる体の変化 >
● 慢性の下痢
● 血圧の低下
● だるい、疲れやすい
● 気力の低下
● 頭痛
● 動悸
● めまい
● 不眠
● 集中力の消失
このような症状は、うつ病と同じと思う方も多いのではないでしょうか?
つまり、副交感神経を優位に立たせるために体や精神に休息を与えるのは良いことなのですが、立たせっぱなしでは副交感神経と言えども弊害が生じてくると言うことなのです。
同様に交感神経の優位が続くと弊害が生じて来ると言うことなのです。
ですから、交感神経と副交感神経がバランスよく、交互に優位に立てるようになると、自律神経は正常に機能しますから、うつ病は改善に向かうということになるでしょう。
まとめると、自律神経を正常に機能させることは、うつ病を改善に向かわせることに繋がります。
そのためには、交感神経が優位だけでもダメですし、副交感神経が優位だけでもダメなのです。
交感神経が優位の後には副交感神経が優位になり、その後には交感神経が優位になると言う繰り返しが、自律神経を正常に戻し、延いてはうつ病を改善する運びになるのです。
そのためにも、睡眠と運動はうつ病改善に外せないファクターと言えるのです。
うつ病が治る予感!「うつ病改善マニュアル」